■ HERMINE DEMORIANE - The Tightrope Walker
＊ UK SECKER & WARBURG ISBN 0-436-12682-6
＊ コンディション： 表紙内側下角4x3.5cmカット（画像3）。表紙にはヴィニール保護カヴァーを付けてあるので美品。ページ内の破れやシワ、目立つダメージもありません。
19 x 24.7cm 160ページ ハードカヴァーー。

■ 60年代末にフランスから渡英し、ジャーナリストとしてジャン・リュック・ゴダールやフィリップ・ガレルらのインタヴュー記事を手掛けたり、女優/歌手として活動したエルミーネ（ハーマイン）・デモリアネ。
1977年のデレク・ジャーマンによるパンク映画「ジュビリー」では無口なバイカー女カオス役で出演し、エディット・ピアフ「水に流して」を歌いながら綱渡りを披露。
歌手としては、NMEで早くからセックス・ピストルズ、ロンドンSSなどパンクの動向を紹介したニック・ケントとオンリー・ワンズのピーター・ペレットの協力を得てシングルを録音するも未発表。その後、1980年にデヴィッド・カニンガム（フライング・リザーズ）のプロデュースでヴァージンからシングルを発表予定だったのですが、カニンガムとヴァージンとのトラブルに巻き込まれる形で発売中止となり、既に刷り上がっていたジャケットとプレス用メタル・マザーをキャンセル料として貰い、彼女自身が自主制作で少数流通。
その後、1982年にクラムド・ディスクで耽美なヌーベル・シャンソン・アルバム「The World on My Plates」を発表。1984年にはチャールズ・バレン（ディス・ヒート）、ティム・ホジキンソン（ヘンリー・カウ/ザ・ワーク）などが参加した「Lonely At The Top」を制作。発表作品数は少ないものの、独特の存在感を漂わせる忘れ難い存在でした。

「ジュビリー」で少し披露していましたが、実は70年代初頭から本職の「綱渡り芸人」としてのキャリアを持っています。1971年5月～1975年3月の彼女自身の日記とライフワークとして研究していた古今の綱渡り芸に関する歴史資料を絡めた1989年出版の本。
日記の部分には、若き日のデレク・ジャーマン、クーム・トランスミッション時代のジェネシス・P・オリッジ、ロキシー・ミュージック在籍時/ソロ活動初期のブライアン・イーノ、ニック・ケント、ブリンズレイ・シュワルツ時代のニック・ロウらとの交流が記されており驚きます。BIBAにニューヨーク・ドールズを観に行ったり、レット・イット・ロックでTシャツを買ったりするエピソードもあり、グラムからパンクへ移行する時代のリアルな記述としても興味深い内容です。