■レコードに刻まれている感動を最大限に引き出し、未知の感動に出会うことを 目指す板起こしレーベル。たとえヒストリカル・マニアでなくとも、ハイレ ゾ音源や高級機材を導入しなくても心の底から感動できる”ものがあるということを実感していただければ幸いです。 ●制作ポリシー *音源に使用するディスクは、可能な限り複数のディスクを比較視聴し、演奏の魅力を最も強く感じさせるものを選びます。 初期盤絶対主義は取りません。 *全て1枚あたり60分以上収録し、通常のコンサートのような曲順(小さい曲から大きい曲へ)に配置。 したがって、1CDRのほとんどが2枚以上のレコードを使用しています。 ●音質処理 音の印象に最も大きな影響を与える要因の一つが、背景ノイズ(チリチリ音)除去のさじ加減。これが過剰なために、 実音のニュアンスまで削られている例が少なくありません。このレーベルでは、ノイズカットを最小限に抑えています。 そのため、盤質の優れているディスクを探す手間暇は不可欠となります。 また、LPの出現からステレオ初期までは、プレスの不備、ピッチの異常、左右チャンネル逆転、回転ムラ等々により、 そのまま再生すると違和感が生じる場合がありますが、「オリジナル性尊重」を持ち出して、これらに全く修正を 施さないディスクに出会うことがあります。当方ではそれらを全て「欠陥品」とみなします。万一このような現象が 見過ごされていた場合は、必ず修正品を再送いたします。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パウムガルトナー/モーツァルト:交響曲集 交響曲第35番[ハフナー」 交響曲第38番「プラハ」* 交響曲第41番「ジュピター」
ベルンハルト・パウムガルトナー(指)ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院O
録音:1958年7月*(ステレオ) ※音源:独PARNASS61-415、61-413* ◎収録時間:79:47
■音源について ステレオ初出盤(10インチ)のザラッとした質感も捨てがたいのですが、フラット盤特有のノイズも含めて一般的ではありませんので、ここでは後発のPARNASS盤を使用。これらの演奏の凄さは十分に感じ取れます。
“モーツァルトに対する渾身の愛を温かな造形美に凝縮!” ★ステレオ録音によるモーツァルトの交響曲録音としては、ワルター盤以上に完成度が高い名演と呼ぶことに何の躊躇もありません。パウムガルトナーと言えば、モーツァルテウム音楽院の学長を務めた学者のイメージが強いですが、導き出される音楽には愛でむせ返り、アカデミックな冷たさとは無縁。学者でもないのに歴史的な考証を中途半端に持ち込み、効率的な音の羅列に終止する指揮者が多い昨今、このモーツァルトに対する敬意の表し方、否、指揮者のあり方を示す最良の実例として、この演奏の重みを今こそしっかり認識すべきではないでしょうか。 「プラハ」第1楽章は、序奏部だけで4分半を要する超低速!しかも各音符の音価が額面通りではなく、手元から音が離れるを惜しむかのような強烈な「引き」を伴い、その味の深さは尋常ではありません。主部も遅めではありますが、モーツァルトへの愛の揺るぎなさを象徴するように音楽の軸がブレず、キリッとしたリズムを伴いながら豊かな流れを築きます。第2楽章の耽溺の一歩手前で情感と造形を巧妙に制御。終楽章は音楽が大きく、懐の深いこと!このようなモーツァルトの人間味を丹念に表出する演奏は、プレヴィンあたりを最後に絶滅してしまったとしか思えません。 「ハフナー」をパウムガルトナーの指揮で聴くと、この曲の祝典的な雰囲気の出し方が表面的、あるいはリズムの切れ味でやり過ごす例が多いことに気付かされます。ここでの演奏は、テンポを中庸からやや遅めを採用していることからも感覚的な痛快さなど全く眼中になく、心の奥底からの愉悦を丁寧に再現することに専心。1:17からのヴィオラの音型が分析臭を伴わずにくっきりリ浮上する様は、共感の純粋さを移すかのよう。 「ジュピター」は、この曲に風格美を求める方には欠かせぬ大名演。声部バランスが練りに練られており、どこをとってもブレンドの妙に感じ入ります。第1楽章はまさに立派な造形を美しきつめながら、第2主題で顕著なように瑞々しい推進力も兼備。第2楽章も、音楽を敷き詰める器の容量が大きいことにハッとさせられることしきり。ひそやかな雰囲気ばかりに気を取られて音楽自体を萎縮させている例のいかに多いことか!。従来のスタイルではメヌエットを遅くする傾向が多く見られましたが、パウムガルトナーはその風潮には組せず、トリオも含めてスッキリとした感触のイン・テンポを貫徹。そういうパウムガルトナーの洗練されたセンスも、古さを感じさせずに聴く者の心に深く訴えかける要因の一つと言えましょう。終楽章は声部の緊密な連動力が命ですが、それを計算ずくでやられると白けるばかり。その点、終始ゆったりと構え、その連動の妙を味わい尽くしてから先へ進むくらいの余裕を見せる進行は、まさに横綱相撲。どこにも力みはないのに、聴く側は手に汗握りっぱなしという、これぞ究極の指揮芸術!【湧々堂】 ■仕様 → 板起こしオリジナルCD-R。アナログ盤特有のノイズは皆無ではありません。 ■盤質 → 新品です。 ◆このシリーズの全カタログ◆
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